ゴルファーの障害

著者は自らgolfを楽しむと共に(龍ケ崎カントリーHDCP3)、整形外科医として多くの友人たちのgolfでの障害の相談を受けてきました。そのいくつかを頻度の多い順に、独自の視点で記載します。お役に立てれば幸いです。

ゴルファーの障害分類
ゴルフ肘
こむらがえり
肋骨の痛み
手関節炎
腱鞘炎
炎症について
腱鞘炎の治療
肩関節周囲炎
踵骨骨端炎
痛風
肉離れ
膝の痛み
ゴルファーの腰痛
Dr.Hikoの腰痛体操
股関節周囲炎

ゴルファーの障害分類

※原因による分類
 @小外傷または反復外傷
  炎症 関節炎 腱付着部炎 腱鞘炎 神経炎 疲労骨折 
  疲労性骨膜障害 肋間筋剥離 肉離れ
 A直接外傷
  Tballによる外傷	挫創 骨折 打撲 失明
  Uclubによる外傷	挫創 骨折 打撲 失明
  V転倒による外傷	挫創 骨折 捻挫 打撲
 B代謝性障害		痛風
 C形態的障害		内反膝 外反膝 外反母趾
 D加齢による障害	変形性関節症 変形性脊椎症

※部位別分類
 @頭・顔面	打撲、骨折、挫創、失明
 A上肢
  T関節 	
	肩関節周囲炎
	肘関節炎 
	手関節炎(R-C・U-C・R-U)
	指関節炎(CM関節症、母指MP・IP、示指〜小指MP・PIP・DIP)
  U筋肉	
	上腕二頭筋断裂 
	上腕二頭筋肉離れ
  V腱付着部	
	上腕外上顆炎
	上腕内顆炎 
	上腕骨内上顆炎 
	肘頭骨端炎
  W靭帯
  X腱 	
	上腕二頭筋長頭腱腱鞘炎
	長母指伸筋腱腱鞘炎 
	母指狭窄性腱鞘炎-de Quervain(短母指伸筋、長母指外転筋)
	総指屈筋腱腱鞘炎(手根管症候群)
	指屈筋腱腱鞘炎

  Y神経	
	手根管症候群
	指神経炎

 B下肢
  T関節	
	仙腸関節炎 
	股関節炎 
	膝関節炎 
	脛腓関節炎 
	足関節炎 
	ショパール関節炎 
	リスフラン関節炎 
	趾関節炎(MP・PIP)
	上記関節の変形性関節症
  U筋肉	
	大腿四頭筋断裂 
	大腿二頭筋断裂
	腓腹筋断裂
  V腱付着部	
	大腿二頭筋腱付着部
	膝鵞足炎
	アキレス腱付着部
  W靭帯	
	腸脛靭帯炎 
	膝蓋靭帯炎
  X腱	
	長母趾伸筋腱腱鞘炎
	アキレス腱腱鞘炎
  Y神経	
	MORTON氏病

 C脊椎	
  T頚椎	
	頚椎椎間板ヘルニア 
	頚椎捻挫	
	棘突起骨折 
	変形性頚椎症 
	頚椎症性脊髄症
  U腰椎	
	腰椎椎間板ヘルニア 
	腰椎捻挫 
	筋筋膜緊張性腰痛 
	変形性腰椎症 
	腰椎分離症 
	腰椎すべり症 
	腰部脊椎管狭窄症
  V仙椎
  W尾椎	
	尾椎骨端炎

 D胸部
  T肋骨・肋軟骨	
	骨折直接外傷
	骨折直接外傷疲労骨折
  U肋間筋		
	剥離
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ゴルフ肘(左上腕骨外上顆炎)

ゴルフ肘テニス肘は右が多い?

ゴルファーに最も多い障害です。左肘の外側の炎症で、物を掴んだりショットする時痛みを覚える。そのうち治るだろうとたかをくくっていても、慢性化しなかなか治りません。これを治療する立場の専門の整形外科医ですら、この障害で1年間ゴルフを止めた医者もいます。 ステロイドの局所注射をしたり、温熱療法を試みるが完全に治りきらないことが多く、使わずにそっとして自然治癒を待つ人が多い。筆者も当然のごとくこの障害を経験しており、2〜3年悩まされながらもゴルフは続けました。私の経験から最も有効な治療法は自ら行う指圧である。肘を伸ばし手首を手の甲に曲げるストレッチの運動を加えながら、一番痛いところを反対側の右側の手で強く、痛いくらいに押しつぶすように指圧します。こうやって指圧を1週間位休みなく続けると、痛みはいつのまにか消え去ります。友人の4〜5人が試み、効果がありました。この指圧の際、消炎鎮痛剤の外用薬インテバンクリーム等を併用するとさらに良い。 もちろん、テニスプレーヤーが右肘の外側に痛みを覚える。テニス肘も同様です。この治療法は筆者オリジナルの治療法です。この治療法の考え方は、指圧による血行の促進と、指圧の刺激による痛みに対する閾値を上げることではないかと考えています。レーザーによる衝撃波刺激療法に通ずると考えています。 お悩みの方はお試しください。


青い矢印が上腕骨外上顆


上腕骨外上顆とストレッチ法

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こむらがえり:ゴルフ中にふくらはぎがつったら?

ゴルフスイングの際、蹴る動作でふくらはぎ(腓腹筋)を瞬時に収縮させます。その時ふくらはぎが痙攣し激しい痛みと共に動けなくなります。そのときマッサージしたり、足首のストレッチをしたりしても治りません。その時、最も効果的なのは消炎鎮痛剤のインテバンクリーム(インドメタシン、市販薬:バンテリン)を塗ることです。つっているふくらはぎにこの薬を擦り込むと2〜3分で痛みも取れ、ふくらはぎのつりも無くなります。ふくらはぎがつるのは夏に多く、脱水症状や筋肉の疲労が原因と考えられています。一度つるとつりくせがつくようです。つったふくらはぎにインテバンクリームを塗って痙攣と痛みが取れ、その後1ラウンドプレーした人を何度も経験しています。そのためわたしはインテバンクリームをラウンド中も持ち歩いています。ふくらはぎつった時、私を見かけたら声をかけてください。すぐに応急処置をいたします。

古屋光太郎先生(東京医科歯科大整形外科名誉教授)お薦めのこむら返りの予防法:漢方ツムラ68芍薬甘草湯をゴルフプレーの前夜または当日朝食前に内服します。またボルタレンゲルやモーラステープをプレー前にふくらはぎに塗ったり貼ったりすると予防になります。

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肋骨の痛み− 肋間筋剥離、肋骨疲労骨折、肋軟骨症

ゴルフショットは体の回転のエネルギーをクラブヘッドに伝え、遠心力を働かせ、ボールに力を与え飛ばします。体の軸(支点)を固定し、ボールを送り出す力(作用)とそれを踏ん張り支える力(反作用)に回転が加わった動きです。軸(支え)がしっかりしていなければ良いショットはできません。また効率的な回転が得られないとボールは飛びませんし、方向性も得られません。これが良い動きかどうかのチエックポイントがいわゆるスイングアークです。 最も解かりやすい似た動きはハンマー投げの動きです。この動きを効率的に働かせるのは、動きの多いまた大きな筋力を持つ股関節の動きです。股関節の動きに頼る方がより大きな力を得て、飛距離を増すのであるが、上体をひねりすぎて肋骨と背骨を傷めやすい。このとき起こるのが肋骨の痛みです。 肋間筋剥離はいわば肉離れです。肋骨と肋間筋の関係はスペアリブを想像していただければわかりやすい。実際に肋間筋の剥離を確認することはできませんが、肋間筋が肋骨に付いている部分または肋間筋自身に小さな外傷が生じ痛みを感じるのです。 肋骨疲労骨折繰り返しねじる運動を何度も続けていると、肋骨も金属疲労と同じように骨折を起こします。レントゲン写真では、はじめのうちはわかりません。痛みを覚えて3〜4週経った時点で骨折を修復するために仮骨が出来てカルシウムが集まり、X-p上もやもやと白く写って初めて診断が付きます。痛みが取れるまで安静にするほかありません。

肋軟骨症

肋骨は胸の中央部から下方に亘り肋軟骨に変わり胸骨(胸板)と結合します。肋骨との結合部または肋軟骨(肋骨の先端部)に痛みを覚える症状で肋軟骨症という病名は筆者が便宜的につけた病名です。靭帯の炎症または肋軟骨の骨折によるものと考えられる。左側の痛みは心筋梗塞も警戒すべきである。消炎作用のあるステロイドの局所注射が有効です。

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手関節炎

手関節は細かく分類すると橈骨・手根骨、尺骨・手根骨、橈骨・尺骨の3つに分けられますが、ゴルファーは尺骨・手根骨の関節(赤印)を傷めやすいです。手関節の小指側、尺側部に運動時の痛みと圧痛があります。ショットの際、ダフッたリ、手首を使いすぎることが原因で起こる事が多い。ステロイド(ケナコルト)の関節注射が有効です。 三角繊維軟骨複合体損傷(Triangular fibrocartilage complexーTFCC tears)を論じて、固定装具を使い1ヶ月の固定を薦める人もいるが、まずステロイドの注射を試みてらでも遅くない。1ヶ月の固定は患者様にとっては負担が重すぎます。

CM関節炎(carpo metacarpal joint)

CM関節とは手根骨と中手骨、親指の付け根の少し出っ張った所(右図)の関節炎です。レントゲンを撮ると外側に少し亜脱臼がみられる場合が多いようです。治療は手関節の場合と同じです。

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腱鞘炎

腱鞘炎はゴルファーの障害において大きなテーマです。ゴルファーは肘から先の痛みをほとんどが腱鞘炎という呼び方をします。腱鞘炎と腱付着部の炎症、それに関節炎と厳密に区別しないで使っている事が多い。それだけポピュラーでありながら、意外ときちんとした記載が少ないのを感じます。 筋肉は途中から腱に変わり骨に付着します。その腱は腱鞘という鞘に包まれ、腱の向かう方向を誘導し、周囲との摩擦を少なくし滑らかな動きを生み出します。腱と腱鞘に過剰な摩擦または圧迫が加わったときに炎症が生じます。炎症の4つの症状は痛み、腫れ、発熱、発赤です。腱鞘炎の場合は慢性化することがおおく発赤は少ないのが普通です。外傷の修復機転として細胞浸潤が起こり肉芽組織が発生し、腱が太くなり、健鞘も狭くなり、周囲と癒着する場合もあります。そのため腱の通りが悪くなります。その結果、ばね指と呼ばれる現象が生まれます。その現象とは指を曲げると伸びなくなる、無理に伸ばせばコキンと弾けるように指が伸びたり曲がったりします。そのはじけて、ばねのような現象からばね指と呼ばれています。腱鞘炎の全てにばね現象が生じるのではなく、ばね現象は1〜5指の屈筋腱に起こりやすい。

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炎症について

炎症は火事に例えることができます。小さな発火点から大きな火事になるように、はじめは小さな外傷(minor trauma)であったのが慢性化し、なかなか治りにくくなります。炎症を抑えることにより、痛みが軽くなり患者様の苦しみを少なくすることが出来ます。外傷によって組織には防御反応である炎症が生じます。外傷による痛みとこの炎症による痛みが患者様を苦しめます。火事でもぼやのうちに消すのが消しやすいのはいうまでもありません。炎症も燃え広がって慢性化した炎症はなかなか治りにくいものです。初期のうちに適当な処置をすると長引かせずに済みます。癌の場合も初期治療を重要視していますが、炎症も初期治療のほうが治癒しやすい。炎症を正しく捉えているかどうかが医者の治療能力を左右します。

a:前腕の腱鞘炎  

親指を伸ばす働きをする長母指伸筋腱に生じる腱鞘炎です。手の甲側、手関節の親指の方から前腕の斜めに走るに痛みと腫れがあり、親指の曲げ伸ばしでギシギシという雪を握った音(握雪音)がするのが特徴です。親指を伸ばしていつもと違った使い方により長母指伸筋腱に負担がかかり発生します。 痛みが強く、放っておけないので急性期に来院し、早期にステロイド注射を受けるので治りやすい。手術になることはまずありません。

写真の点線が長母指伸筋の走行を示し、赤の部分が腱鞘炎の好発部位で、この部位でギシギシという握雪音がします。右側が多い。

b:母指狭窄性腱鞘炎(De Quervain ドケルバン)

親指側(橈側)の親指を伸ばした時に生じる嗅ぎタバコ三角(タバチュール)の親指側の短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が通過する溝に起こる腱鞘炎です。左右どちらにも起こりえます。 また、出産後の腱鞘炎とも呼ばれ、子供の頭を洗うときに頭を保持するときに親指を伸ばして使うときに起こりやすく、、若い母親にしばしば見られます。

点線は腱の走行を示し、赤い点線が腱鞘炎の後発部位です。

c:手根管部:手根管症候群

手首の掌側で橈骨手根屈筋と長掌筋が屈筋支帯の下を手根管というトンネルの中を通過します。この二つの下に正中神経も一緒に通っています。この部位に炎症が起こると腱鞘炎と共に神経炎が起こり1〜3指にしびれようになり、親指の動きも悪くなる場合があります。

赤い点線の右が橈骨手根屈筋、左が長掌筋。赤い部分に屈筋支帯が横に走る。真中が正中神経の走行線。

d:母指屈筋腱(ばね指)

ゴルファーは当然左側に多い。それは左手で直接にグリップと接するからです。親指の屈筋腱は長母指屈筋腱1本のみで、短母指屈筋は腱を持たないので、腱鞘炎が起こるのは長母指屈筋腱のみです。炎症が慢性化すると腱と腱鞘が太くなり、通過障害が起こる。狭くなった腱鞘を太くなった腱が無理に通過するときばねのように弾けます。この現象をばね指と称します。ステロイドの注射でよくならないときは腱鞘切開術という手術を行います。

点線が長母指屈筋腱の走行を示す。赤い点線の部分が好発部位です。

e:2指〜5指屈筋腱(ばね指)golferに多い腱鞘炎

親指の腱が1本であるのに対し、2〜5指の屈筋腱は深指屈筋腱と浅指屈筋腱の2本で出来ています。この時も親指を同じように炎症が慢性化するとばね現象を生じます。golferは3,4指に多く、これはグリップをきつく握りすぎた時に起きやすいようです。PIP関節(俗に言う第2関節)に違和感を覚えこの訴えで来院することも多く、右図の赤い点線の部位に圧痛を認め、PIP関節炎との区別が必要です。朝のこわばり、手のむくみも伴い、リュウマチの症状に似ています。ほとんどの場合ステロイドの注射でよくなりますが、再発もあります。繰り返すときは手術を行ないます。

赤い点線の部分がちょうどグリップの当たる部位でここで腱鞘炎を起こしやすい。

d、足の腱鞘炎

この腱鞘炎は主に靴が当たって生じることが多い。長母趾伸筋腱の走行は写真 5の点線で示します。赤い点線が腱鞘炎の好発部位です。これも急性期は母趾の曲げ伸ばしでギシギシという握雪音を触れます。

f、アキレス腱腱鞘炎

かかとの上にふくらはぎ(腓腹筋)から連なるアキレス腱が続く。靴が当たって腱鞘炎になることが多いが、スイングの際かかとのけりを強くしすぎて過剰な負担がかかり炎症を起こすこともあります。急性期は痛みが強く、足を引きずります。

アキレス腱

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腱鞘炎の治療

まず第一選択はステロイドの注射です。急性、慢性にかかわらずこの注射で2週間に一度、1〜2回でほとんどが治癒してしまいます。3〜4ヶ月後に再発しますが、再び注射することで治ります。それ以上の再発は手術:腱鞘切開術を薦めます。この手術も患者さんへの負担は少ない。 この注射により腱鞘炎に対する手術は激減しました。スーパーライザーを併用するとなお効果的です。

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肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)

 

急性型:急性の肩関節周囲炎は炎症が強く、激しい痛みと熱感を伴い、眠れないほどずきずきとうずきます。寒気を覚えることもあります。レントゲン写真でまったく変化がない場合と、右図のように肩甲骨肩峰下の三角筋下滑液包に白い石灰沈着を認める場合があります。この場合は石灰沈着性肩関節周囲炎と呼ばれます。 また上腕二頭筋長頭腱の腱鞘炎として発症することもあります。治療としては湿布、消炎鎮痛剤の飲み薬、ステロイドの注射、ボルタレン座薬とあらゆる消炎鎮痛を期待できる手段を使います。痛みが激しい為に、我慢しきれず早期に整形外科を訪れ、むしろ早く治る事が多いようです。 なお、絶対にしてはいけないことは患部を温めることです。急性期の炎症を温めたり、お酒を飲んだりするのは火に油を注ぐようなものです。接骨院などでの電気治療もやってはいけません。 痛みの強いときはゴルフどころではありません。治療に専念してください。1週間もすればゴルフができます。

石灰沈着性肩関節周囲炎。緑の矢印が石灰沈着。

慢性型:少しづつ肩に違和感を覚え、そのうち治るだろうと思っているうちに、次第に肩をかばい腕が挙がらなくなってから整形外科を訪れるケースがほとんどです。夜中に寝返りを打つたびに肩に痛みを覚え睡眠障害に陥ります。肩関節の動きが50%以下の人は治すのに苦労します。ステロイドの注射に反応するのは約70%、後の30%は治療に難渋します。その30%の中にはrotator cuff(腱板)の損傷が合併するためだと思われます。ヒアルロン酸の関節注射も思った程の効果はありません。日頃からの肩関節のストレッチ運動は予防として良いと思います。そもそも慢性にしないことが肝心なことです。炎症の早期治療の原則は生きています。少しでもおかしいとか痛いといった症状があった場合はなるべく早く整形外科で治療を受けた方が得策です。早ければ早いほど治りやすいのはいうまでもありません。自然治癒もありますが、長期におよぶことが多く、この医学の発達した時代にそんなに苦しむことはありません。この慢性の50肩はゴルフを中止するほどではないようです。ゴルフのスイングには比較的影響しないのかプレイを続ける人が多いようです。それはゴルフスイングでは腕を肩より高く上げる動作が少ないからでしょうか。オーバースイングといってもそれはクラブを過剰に振り上げているだけで、腕を上げすぎているわけではありません。スイング中にチカッと痛んだり、肩の痛みで睡眠障害のため集中力がかけてパターに関係したりして、体に一つでも障害があると好スコアは出にくいものです。健康でゴルフが楽しめることが今一番幸せなことではないでしょうか。スコアへのこだわりと、スコアにこだわらずゴルフを楽しむ、なかなか難しい課題ですね。寝込まずにグリーンの上でパタッと死ぬのが理想の死に方だと不遜にも思っています。

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踵骨骨端炎

踵骨(しょうこつ)は読んで字の如くかかとの骨です。この踵骨の炎症を起こしやすい場所は2ヶ所あります。一つはアキレス腱付着部またはかかとの後面、もう一つは足底部です。

@アキレス腱付着部または踵骨後面の骨端炎

腓腹筋(ふくらはぎ)につながるアキレス腱の付着部に起こる炎症です。写真1の部位に靴が当たったり、またはスイングで足の蹴りが強かったりして負担がかかると炎症を起こします。またgolfのやりすぎによる疲労も原因になります。またこの部位での炎症は痛風の発作も考慮しなければなりません。痛風による炎症は、炎症症状が強いのが特徴です。痛みが激しく、赤くはれ、熱感を伴います。痛風発作の際でも必ずしも血中尿酸値が高くなっているとは限りません。痛風による踵骨骨端炎でも、機械的な刺激による踵骨骨端炎でも炎症を抑えるための治療を行ないます。痛風の場合はコルヒチンの投与、長期で定期的な管理などが必要となります。

1:アキレス腱付着部または踵骨後面

2:踵骨足底部の骨棘

A足底部の骨端炎

かかとの骨の足裏に起こる炎症です。レントゲンを撮ると図の2の部位に骨棘を認める場合もあります。この部位は足底方形筋や足底腱板の付着部位です。こういう骨棘は体重の重い人に発生することが多いようです。右のかかとに体重をかけすぎて機械的な刺激となり炎症を引き起こします。消炎治療で対処します。骨棘を手術的に削ることはしません。

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痛風

ゴルフという運動をした後、お風呂に入り、お酒を飲み、大いに食べた後に足のおやゆびの付け根(MP関節)に腫れ、痛み、発赤、熱感を伴い激しい炎症を起こすのが痛風発作です。痛風とは炎症部位に風が当たるだけでも痛むことからこの名前がつけられたといわれます。激痛ですから医者にかからざるを得ませんし、薬が劇的に効きますから医者が神様のよう思える疾患です。血中に尿酸値が高い人は尿酸塩結晶が関節や靭帯付着部位に沈着し炎症を引き起こすといわれています。もうひとつ大きな問題は尿酸結晶は腎臓にも沈着し、腎障害を引き起こすことです。腎不全は重症になると人工透析の適応になる場合もありますので、適切な高尿酸血症の管理を受ける必要があります。

痛風の発作しやすい部位:足のおやゆびの付け根(MP関節)、踵骨後面、2〜5趾の関節、足関節です。手関節や手の指はまれです。

痛風結節:足、耳介の上縁、手などにこりこりした硬いしこりができます。親趾のMP関節に著名な痛風結節を認めます。

高尿酸血症学会管理基準 uraly netから

男女ともに血清尿酸値が7.0 mg/dL以上になると、高尿酸血症と診断されます。これは、1996年に開催された痛風・高尿酸血症に関する学会「日本プリン・ピリミジン代謝学会−現、日本痛風・核酸代謝学会」で、専門の先生たちによって確認されました。この値は人の体温での血清に溶解する尿酸の量から決まっています。8.0mg/dL以上が続いた場合、尿酸降下薬による治療を考慮する。治療を開始すると6.0mg/dL以下を目標に血清尿酸値をコントロールすることも、同時に確認され、この数字を並べて、痛風・高尿酸血症の診断・治療の管理基準を「6−7−8のルール」と呼ぶことも学会後に提唱されています。

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肉離れ(筋肉または筋膜部分断裂)

@腓腹筋(ふくらはぎ)の肉離れ:腓腹筋は脛骨後面より起こり、アキレス腱に連なり踵骨に付着する。足関節を低屈 (足の裏に曲げる)させる働きがあり、地面を蹴ったりジャンプする時に強く収縮します。golfではダウンスイングからインパクトの右足の蹴る動きとか段差で踏み外したときに肉離れを起こします。筋肉のよく発達した人に起こりやすい。従って女性より男性の方が多い。

    

症状:肉離れを起こすとふくらはぎの内上方に痛みを覚え、蹴る力がなくなり、よく歩けなくなります。2〜3日経つと疼痛部位に腫れや内出血を起こす場合もあります。損傷の強さにより1〜2週で局所にしこり(硬結)を生じる場合があります。

   

治療:初期は局所安静、湿布、消炎鎮痛剤、1週間後から温熱療法、この場合極超短波が最適である。極超短波は電子レンジに使われていて、深部の傷ついた細胞を温めて硬くなったしこりを柔らかくする作用がある。ステロイドの局所注射を併用するとなお効果的です。

   

経過:痛みは2〜3週間あります。その後しこりを作る場合は6ヶ月程度かかります。肉離れを起こした人はその筋肉がつりやすくなります。短距離選手ではスポーツ生命にかかわりこともあります。

 

A大腿二頭筋、大腿内転筋、大腿四頭筋の肉離れ

golfでは比較的少ない。

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膝の痛み

アップダウンのあるコースをプレイした後、帰りの車の中で膝の置き場が無くなるような、そんな虚脱感が襲い、翌日から膝が腫れ、痛みを覚え、よく歩けない。これがゴルファーの膝の痛みの始まりです。膝はスポーツをする人にとって大切な役割を果たしています。その為に障害を起こしやすい部位でもあります。膝に水が溜まるのは膝に何らかの負担がかかり、炎症を起こしたのです。風邪引くと鼻水が出るように、膝の中で水(炎症性関節液)が出たのです。膝の関節を袋に例えれば、袋の中に水が溜まると、中の骨が浮き不安定になりぐらぐらします。ぱんぱんに腫れれば曲げ伸ばしは不可能となり、激しい痛みで歩けなくなります。

@急性の炎症は温めるな!まず湿布しよう!

A膝に水が溜まったら抜こう!溜まったまま長く置かない。

B初期のステロイド注射は不可欠です!

C違和感があればまず膝伸ばし運動(大腿四頭筋訓練)をすぐに始めましょう!

※この四頭筋強化運動がこれからのあなたの膝の運命を左右します。

薬を飲んだり、湿布したり、注射したりしてあらゆる手段を使い炎症を初期のうちに抑えましょう。長引かせない(慢性化させない)。練習時に膝に捻りをやりすぎないこと。膝に違和感を覚えたら、膝伸ばし運動(きっちり最後まで伸ばす、これが大事)。アップダウンのコースは気をつける。

膝の治療は場合により大変難しいものです。初めにかかる医者によって運命が決まると言っても過言ではありません。ただ安静ばかりを命じ、四頭筋の訓練を教えない医者は治療として失格です。golferにとっても膝の障害は腰の障害とともに最も大きな障害といえるでしょう。 golfは他の接触スポーツと異なり、激しい動きは少ない。接触スポーツは人と人がが瞬時に激しくぶつかり合う為に膝では靭帯が切れたりする靭帯損傷が起こりやすい。特に問題になるのが前十字靭帯損傷で、この靭帯損傷の修復は膝を扱うスポーツ医、整形外科医にとって大きなテーマであるが、ゴルファーの障害としては過去の損傷を別にすればあまり問題にならない。ゴルファーにとっては半月版障害、変形性膝関節症が問題となる。

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ゴルファーの腰痛

どんな小さな障害でもスポーツをする人にとっては大変な負担となります。その中でもゴルファーの障害で最も重大な障害は膝と腰の障害です。体調を万全にしていいプレイをしたいものです。

腰痛の原因はいろいろあります。

1、椎間板ヘルニア

2、変形性脊椎症 

3、腰椎分離すべり症 

4、脊椎管狭窄症 

5、筋緊張性腰痛 

6、骨粗しょう症

7、椎間関節由来の腰痛

8、棘間靭帯ないし棘突起炎

9、仙腸関節由来の腰痛

10、脊椎側彎症由来

11、その他

その診断と治療はかかりつけの整形外科医に任せるとして、ここでは私が考案した腰痛体操を記載します。

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Dr.Hikoの腰痛体操

私の考案した腰痛体操は腹筋と背筋を鍛え、腰椎の椎間関節を良い方向への整え直す運動です。次の3つの運動を1セットにして朝昼晩、10セット行ないましょう。この運動は自分でできるカイロプラスチックです。自分で治す努力をしましょう。腰が痛くなり始めた時は湿布したり、消炎鎮痛剤(co-x2阻害薬剤のモービックがお薦め)を飲んだり、この運動を行なって腰痛から静めてください。痛み始めは温めないで下さい。冷やしすぎもいけません。慢性の腰痛持ちの人がこの運動を続けて治った人が何人かいます。

腰痛体操 @:床に横になり、まず下腹部を意識するため手を当てて、それからお腹をへこませながら、両膝をまっすぐ抱え込み胸まで引き寄せる。頭は枕はせず、また抱え込んだ時も頭をあげたりせずにそのままの位置に置いておく。

この運動時の背骨の動きを示します。腰椎の左右の椎間関節を整える効果があります。右の写真の矢印の方向に整えます。これは自分で行なう背骨の方向を整えるカイロプラスチックなのです。腹筋を鍛えると同時に、等尺運動により背筋も鍛えられます。赤い所が椎間関節。青の矢印の方向に脊椎は矯正されます。

腰痛体操 A:反対側の膝は立てたまま、片方の膝だけ斜め上に引き寄せる。お腹、特にへそよりしたの下腹部の腹筋をへこませる。注意;引き寄せた反対側の膝は必ず立てたままにしておいてください。伸ばしたままにしておくと、腰に前彎がかかり、逆に腰痛を起こすことがあります。

左側の赤で示す腰椎の椎間関節を青の矢印方向に背骨を整える効果がある。

腰痛体操 B:こんどは腰痛体操2と反対側の膝を抱え込む。同時にお腹をへこませ、腹筋を鍛える。この時も必ず反対側の膝を立てておく。

第2の運動の反対側、右側の赤で示す椎間関節を青の矢印の方向に整える。この3つの運動を1セットにして、朝昼晩10セット行なうと効果があります。この運動は仙腸関節のアライメント(向き)とも一致するので仙腸関節を整える効果もあります。

腰椎レントゲン写真で腰椎の椎間関節と骨盤の仙腸関節の向きは斜めに平行で、斜め上への腰痛体操が椎間関節と仙腸関節を同時に整えられることを示しています。いわゆる自分でできるカイロプラスティックという考え方でこの腰痛体操を行なうと効果があります。この運動は初めの1週間はつらいが、それを過ぎるとだんだん効果が出始め、腰痛が少なくなる。腰痛体操は他にいろいろありますが、そんなにいろいろやりきれません。簡単なこの3つの運動なら続けることができますし、一番効果的です。

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股関節周囲炎

ゴルフスイングは股関節を有効に活用することにより、飛距離を伸ばすことが出来ます。股関節は動きも大きく、また大きな筋肉が付いていることから大きな力を生むことが出来ます。しかも股関節中心のスイングは腰と上体への負担を減らし、ゴルファーの障害を少なくします。しかし股関節への負担がかかりすぎると、関節を包んでいる袋(関節包)と筋膜の間にある滑りを良くしている滑液膜に炎症を生じます。股関節周囲炎には急性型と慢性型がありますが治療法は同じです。ゴルフのこういう障害もあることを充分認識している整形外科医にかかる必要があります。特に慢性の場合は見落とされやすい。

急性型股関節周囲炎:プレイ中あるいはプレイ後から股関節に違和感を覚え、だんだんうずくようになり痛みに変わっていく。お風呂で温めれば良くなるだろうと、温めて逆に症状を悪くしてしまします。夜になるとお酒も入り炎症はますます強くなり、局所に熱感を伴い、全身に寒気を伴う激痛に襲われます。翌日整形外科を訪れ、レントゲン写真を撮ると股関節の外側に白い石灰沈着を指摘されます。石灰沈着を伴わない場合もあります。自分では解決できません。医者の治療が絶対必要になります。

   

@湿布する。

 

A消炎鎮痛剤を飲む。ボルタレン座薬の使用。

 

Bステロイドの関節周囲への注射。

この急性の石灰沈着性股関節周囲炎は筆者も経験しています。あらゆる消炎鎮痛治療をして、ようやく痛みも取れ1週間後にはプレイが出来るようになりました。

慢性型股関節周囲炎:少しずつおしりや大腿部に痛みを覚え、歩くときやあぐらをかくときに関節の動きの制限や痛みがあります。整形外科を受診しても坐骨神経痛などと誤診される場合があります。石灰沈着を見ることはあまりありません。治療は急性股関節炎の場合と同じですが、慢性炎症ですから温めるのは有効です。股関節は上肢における肩関節に相当します。従ってその炎症の起こり方も似ていますが、股関節炎は肩関節炎ほど頻度は多くなく整形外科医でも見落とすことがあります。股関節の痛みは大腿骨骨頭壊死や変形性股関節症を否定するために、レントゲンの撮影は欠かせません。

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